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心筋修復:間葉系幹細胞の単層シートによって心筋梗塞後の瘢痕化した心筋が修復される

Nature Medicine 12, 4 doi: 10.1038/nm1391

間葉系幹細胞は、心筋細胞や血管内皮細胞へ分化できる多能性細胞である。今回我々は細胞シート技術を用い、梗塞を起こしたラット心臓へ移植した間葉系幹細胞の単層シートが、多能性および自己増殖の特性を示すことを報告する。我々は、温度応答性培養皿を使い、フローサイトメトリーで特徴づけをおこなった脂肪組織由来の間葉系幹細胞を培養した。そして、この間葉系幹細胞の単層シートを、冠動脈結紮から4週間後の瘢痕化した心筋の上へ移植した。移植後、植え付けた細胞シートはしだいに増殖して厚い層を形成し、そこには新たに形成された血管や未分化の細胞、若干の心筋細胞が含まれていた。この間葉系幹細胞シートはパラクリン的に働いて、血管新生を誘導した。繊維芽細胞シートと違って、間葉系幹細胞の単層シートは心筋梗塞を起こしたラットで瘢痕領域の壁の菲薄化を食い止め、心機能を改善させた。したがって、間葉系幹細胞の単層シートの移植は心臓組織を再生させるための新しい治療戦略となる可能性がある。

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