Letter 心筋修復:培養心臓組織移植片は梗塞を起こしたラット心臓の収縮・拡張機能を改善する 2006年4月1日 Nature Medicine 12, 4 doi: 10.1038/nm1394 組織工学的に作り出した心筋を移植して病変した心筋を再生させようという考えは魅力的だが、心不全を十分に支援できるほどの大きさと収縮能をもつ心臓組織を再生できることを示す説得力のある証拠は現在得られていない。今回我々は、ラット新生仔の心臓細胞から、大きくて(厚さ1〜4 mm、直径15 mm)、収縮能のある培養心臓組織を作出した。この培養心臓組織を、免疫抑制したラットの梗塞心筋に移植すると、厚い心筋層を形成した。28日後の評価では、培養心臓組織は元来ある心筋に対して遅滞なく電気的結合を示し、不整脈誘発の兆候もなかった。そのうえ、対照例と比較して、培養心臓組織はさらなる拡張を防ぎ、心筋梗塞領域の収縮壁の肥厚を引き起こし、梗塞を起こした心臓の左室内径短縮率を改善した。したがって今回の研究成果は、収縮能をもつ大きい心筋組織移植片がin vitroで構築でき、移植後の生着が可能であって、梗塞を起こした心臓の収縮機能を支援できることを示す証拠となる。 Full text PDF 目次へ戻る