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統合失調症:ニューレグリン1-erbB4シグナル伝達の変化は統合失調症におけるNMDA受容体機能低下にかかわっている

Nature Medicine 12, 7 doi: 10.1038/nm1418

最近の分子遺伝学的研究は、ニューレグリン1(NRG1)とその受容体erbBの統合失調症の病態生理へのかかわりを示している。NRG1受容体の中で、erbB4は神経発達とN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体シグナル伝達の修飾に重要な役割を果たすことから特に関心がもたれている。今回、剖検脳組織刺激という新たな方法により、統合失調症患者の前頭前野ではNRG1によるerbB4の活性化が著しく上昇していることがわかった。しかし、NRG1およびerbB4の量は、統合失調症患者と対照群の間で変わらなかった。このerbB4シグナル伝達の過剰活性化の原因を探して、erbB4とPSD-95(postsynaptic density protein of 95 kDa)の結合について調べた。この結合はerbB4の活性化を高めることが知られているからである。統合失調症患者ではerbB4−PSD-95結合作用にかなりの上昇が認められた。NRG1の刺激が、齧歯類の皮質で以前報告されているのと同じく、ヒトの前頭前野におけるNMDA受容体の活性化を抑制することもわかった。NMDA受容体活性化のNRG1による抑制は、対照群と比較した場合、統合失調症患者で顕著であり、この疾患でNRG1−erbB4シグナル伝達の亢進が認められるという観察と矛盾しない。したがって、これらの結果から、NRG1シグナル伝達の促進が、統合失調症におけるNMDA機能低下にかかわっている可能性が考えられる。

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