Article

造血:VEGFは成体肝臓におけるエリスロポエチン合成の制御を介して赤血球生成を調節する

Nature Medicine 12, 7 doi: 10.1038/nm1428

血管内皮増殖因子(VEGF)は、病的な血管新生と正常時の生理機能において重要な役割を果たす。我々はアデノウイルスによる可溶性VEGF受容体(VEGFR)細胞外ドメインの発現、組換え型VEGF Trapタンパク質、VEGFR2に対する選択的抗体DC101などの多様な方法でVEGFを高度に阻害すると、ヘマトクリット値が上昇する(60〜75%)ことを観察した。マウスモデルと霊長類モデルの両方で、赤血球の産生が増加し(赤血球増加症)、それにともなってVEGF角膜マイクロポケットでの血管新生がほぼ完全に中和された。VEGFを高度に阻害すると、肝臓でのHIF-1αに依存しない機序によるエリスロポエチン(Epo、Epoにコードされる)の合成が40倍以上増加し、これは腎臓でのEpom RNAの減少と平行していた。肝細胞特異的なVegfa遺伝子欠失および肝細胞と内皮細胞の共培養を用いた実験では、VEGFの阻害により、肝細胞と内皮細胞との間の相互作用を含む恒常的なVEGFR2依存性パラクリン型シグナル伝達の阻害を介して肝臓でのEpo発現が誘発されることが示された。今回のデータは、VEGFが肝臓のEpo合成および赤血球生成のこれまで考えられていなかった負の制御因子であること、またEpoと赤血球増加の程度が、in vivoでのVEGFの重度の阻害に対する非侵襲的な代替マーカーとなりうることを示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度