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免疫:ヘパリンとの結合はアデノ随伴ウイルス血清型2型のキャプシドに対するT細胞の活性化を誘導する

Nature Medicine 12, 8 doi: 10.1038/nm1445

最近ヒトでおこなわれたB型血友病の遺伝子治療の臨床試験で、アデノ随伴ウイルス(AAV)血清型2型ベクターのキャプシドに対するT細胞活性化が肝臓毒性にかかわっていることが明らかになった。この種の毒性についてさらに調べるために、我々はマウスおよび非ヒト霊長類でベクターを筋内注射した後のAAVキャプシドに対するT細胞応答の評価をおこなった。AAV2および系統発生的に近縁のAAV変異株にもとづいたベクターのキャプシドに特異性を示すT細胞は高レベルで検出されたが、AAV8のような他のAAVクレードに属するベクターの場合は、キャプシド特異的T細胞の活性化はみられなかった。AAV2-AAV8ハイブリッドの作出と部位特異的突然変異により、T細胞活性化を誘導するドメインがVP3上のRXXRモチーフに位置することがわかった。このモチーフはビリオンにヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)への結合能を付与することが以前示されている。天然AAVおよび組換えAAV変異株の検討から、ヘパリンへの結合、ヒト樹状細胞(DC)への取り込み、およびキャプシド特異的T細胞の活性化の間に直接的な相関関係があることが明らかになった。CD8+T細胞の活性化にヘパリンとの結合がかかわっていることは、抗原の免疫原性の調節や遺伝子治療用の既存のAAVベクターの安全性プロファイルの改善に役立つ可能性がある。

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