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腎炎:腫瘍抑制因子Vhlhの欠損はマウスでCxcr4の発現亢進と急速進行性糸球体腎炎を引き起こす

Nature Medicine 12, 9 doi: 10.1038/nm1460

急速進行性糸球体腎炎(RPGN)は、数日から数週間以内に起こる腎機能喪失や生検による糸球体半月体形成の検出を特徴とする臨床的な症候群である。この疾患の病因は明らかではないが、循環因子が主要な役割を担っていると考えられてきた。本論文では、マウスの糸球体細胞に存在するフォン・ヒッペル・リンドウ遺伝子(Vhlh)の欠失が、壊死性半月体形成性糸球体腎炎およびRPGNに伴って起こる臨床徴候を引き起こすのに十分であることを示す。Vhlhの欠損は低酸素誘導因子(HIF)αサブユニット群の安定化につながる。遺伝子発現プロファイリングにより、RPGNを罹患するマウスおよびヒトの糸球体でHIFの標的遺伝子であるCxcr4de novo発現が起こっていることがわかった。Cxcr4に対する阻害抗体を投与したマウスではRPGNの経過が著しく改善され、一方、トランスジェニックマウスの糸球体足細胞ではCxcr4の過剰発現のみで、糸球体疾患を引き起こすのに十分である。まとめると、これらの結果は動物モデルでのRPGNおよび糸球体疾患の発症機序としてこれまでとは異なる機構を示しており、この疾患に介入する新規分子経路が示唆される。

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