Brief Communication

感染症:結核菌inhAへの点突然変異導入により解明されたイソニアジドの標的

Nature Medicine 12, 9 doi: 10.1038/nm1466

イソニアジド(INH)は最も効果の高い抗結核薬の1つであるが、その正確な作用機序についてはいまだに異論がある。inhAはイソニアジドの標的と考えられている遺伝子だが、今回特殊な連鎖伝達法を用いて、inhA内に1個の点突然変異が生じた対立遺伝子(S94A)を結核菌(Mycobacterium tuberculosis)に導入した。inhA(S94A)対立遺伝子の導入だけで、イソニアジドによる殺菌およびミコール酸の生合成阻害に対して臨床的に問題となる程度の耐性が生じた。INH-NAD阻害薬のInhAへの結合減少とこの耐性の間には相関関係があることが酵素実験およびX線結晶解析により示され、結核菌ではInhAがイソニアジドの主要な作用標的であることが実証された。

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