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糖尿病:NR4Aオーファン核受容体は肝臓のグルコース代謝を転写的に調節する
Nature Medicine 12, 9 doi: 10.1038/nm1471
肝臓の糖産生はグルコース恒常性に重要であり、その調節異常は糖尿病発症の一因となる。今回、リガンド非依存性オーファン核受容体のNR4Aファミリーのいくつかは、ホルモンによる糖新生調節におけるcAMP作用の下流メディエーターであることを示す。Nur77、Nurr1およびNOR1の肝臓での発現は、in vivoではグルカゴンや絶食に応答してcAMP軸によって誘導され、糖新生の増加を示す糖尿病マウスで増加している。アデノウイルスによりNur77を発現させると、糖新生に関与する遺伝子の発現が誘導され、in vitroとin vivoの両方で糖産生が促進され、血糖値が上昇する。反対に、阻害性変異体であるNur77受容体の発現は、糖新生系の遺伝子発現と拮抗し、db/dbマウスで血糖値を低下させる。これらの結果は、グルコース恒常性の転写的制御にオーファン核受容体が今まで知られていなかった役割をもつことを明らかにするものである。