Article 乳癌:乳癌細胞のNF-κBはGM-CSFを介する破骨細胞の形成誘導により溶骨性骨転移を促す 2007年1月5日 Nature Medicine 13, 1 doi: 10.1038/nm1519 進行した乳癌は骨への転移頻度が高く、その結果溶骨性傷害が起こるが、その基盤となる機構はよくわかっていない。本論文ではNF-κBが、破骨細胞形成を促して乳癌の溶骨性骨転移に重要な役割を果たすことを報告する。in vivo骨転移モデルを用い、乳癌細胞での構成的なNF-κB活性が、溶骨性骨転移に特徴的な骨吸収に重要であることを見いだした。また、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)をコードする遺伝子がNF-κBの重要な標的であることを突き止め、GM-CSFが破骨細胞の分化の促進によって乳癌の溶骨性骨転移に関与することを明らかにした。さらに、乳癌患者の骨転移性腫瘍組織では、GM-CSFの発現がNF-κBの活性化と相関することも観察された。これらの結果は、NF-κBがGM-CSFの誘導を介して、溶骨性骨転移にこれまで知られていなかった特異的な役割を果たすことを明らかにするもので、NF-κBが乳癌治療および骨転移予防の標的となる可能性を示唆している。 Full text PDF 目次へ戻る