Article 白血病:Notch1によって誘導されるT細胞白血病におけるNF-κBシグナル伝達経路の標的化 2007年1月5日 Nature Medicine 13, 1 doi: 10.1038/nm1524 T細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)は、他の急性リンパ性白血病(ALL)とは異なり、染色体異常と結びつけられることは稀であったが、ほとんどのT-ALL患者がNOTCH1遺伝子に活性化型変異をもつことが最近示された。しかし、Notch1によって誘導される腫瘍性形質転換を引き起こすシグナル伝達経路や標的遺伝子はまだはっきりしていない。本論文では、構成的に活性化されたNotch1が転写レベルでIκBキナーゼ(IKK)複合体を介して、NF-κB経路を活性化し、それによって骨髄の造血幹細胞や前駆細胞で複数のよく知られたNF-κB標的遺伝子の発現を増加させることを示す。NF-κB経路は確立したヒトT-ALLでは著しく活性化されており、この経路の阻害はin vitroとin vivoの両方で腫瘍の増殖を効率よく制限できることが実証された。これらの知見により、NF-κBはNotch1が誘導する形質転換の主要なメディエーターの1つであることが突き止められ、NF-κB経路は今後、T-ALLの治療標的となる可能性がある。 Full text PDF 目次へ戻る