Article 原発性免疫不全:エンドソームのアダプタータンパク質p14の欠乏によって引き起こされるヒトの新規原発性免疫不全症候群 2007年1月5日 Nature Medicine 13, 1 doi: 10.1038/nm1528 リソソームと同類の細胞小器官群は、タンパク質や脂質の分解、シグナル伝達やタンパク質分泌などのさまざまな機能を担っている。エンドソームやリソソームの形成に影響が及ぶ、稀な先天性疾患の分子レベルの解明からは、自然免疫系および適応免疫系の生理的機能に関する手がかりが得られる。本論文では、これまで知られていなかったヒトの原発性免疫不全疾患について記述し、エンドソームのアダプタータンパク質p14が、好中球、B細胞、細胞傷害性T細胞およびメラノサイトの機能に重要であることの証拠を示す。p14は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)シグナル伝達を後期エンドソームに局在させることがすでに知られている。我々は、遺伝的な連鎖研究と転写プロファイル解析を組み合わせることにより、p14(別名MAPBPIP)の3'非翻訳領域(UTR)にホモ接合性の点変異を同定した。この変異の結果、p14タンパク質の発現が減少する。p14を欠損する細胞では、後期エンドソームの細胞内分布に大幅な異常が見られ、エンドソームの形成にp14がこれまで知られていなかった役割を持つことが示唆された。これらの知見は、エンドソーム膜の動態、細胞のシグナル伝達カスケード反応の細胞小器官への局在、また免疫におけるその役割の解明にかかわりがある。 Full text PDF 目次へ戻る