Article 腱疾患:腱の幹⁄前駆細胞の同定とそのニッチにおける細胞外マトリックスの役割 2007年10月5日 Nature Medicine 13, 10 doi: 10.1038/nm1630 損傷した腱の修復は今もなお非常な難題であるが、その大きな理由は腱細胞およびその前駆体に関する詳細な特性解析が欠けていることである。我々は、ヒトとマウスの腱が、腱の幹⁄前駆細胞(TSPC)と名づけた独特な細胞集団を有し、これらの細胞はクローン性コロニー形成能、多能性および自己再生能などの幹細胞に一般的な特性をもつことを示す。単離したTSPCをin vitroで長期間増殖させてからin vivoへ移植すると、腱様組織の再生が可能であった。さらに、TSPCは主に細胞外マトリックスからなる独特のニッチ内に存在し、バイグリカン(Bgn)およびフィブロモジュリン(Fmod)がこのニッチを構成する2つの重要な成分であることを明らかにする。BgnとFmodの大幅な減少は、骨誘導因子シグナル伝達の変調によりTSPCの分化に影響を及ぼし、in vivoでの腱形成を妨げる。今回の結果は、腱細胞の生物学的性質に対する新たな手がかりを与えるとともに、腱疾患に対する将来の治療戦略の助けとなるだろう。 Full text PDF 目次へ戻る