Letter HIV-1:細胞内マイクロRNAは休止期の初代CD4+Tリンパ球におけるHIV-1の潜伏化に寄与する 2007年10月5日 Nature Medicine 13, 10 doi: 10.1038/nm1639 休止期初代CD4+T細胞中での免疫不全ウイルスタイプ1(HIV-1)の潜伏化は、抑制的な高活性抗レトロウイルス剤療法(HAART)を受けている患者でのウイルス根絶に対する大きな障壁となっている。最適なHAART治療を受けている場合でも、複製能を有するHIV-1は休止期の初代CD4+T細胞中に存在する。ウイルスの生活環のさまざまな段階に対して作用する多数の制限因子は、ウイルスの潜伏化に寄与している可能性がある。今回我々は、休止期初代CD4+T細胞で、細胞内マイクロRNA(miRNA)がHIV-1増殖を強く阻害することを示す。HIV-1のメッセンジャーRNAの3′末端は、miR-28、miR-125b、miR-150、miR-223およびmiR-382を含む一群の細胞内miRNAの標的となることがわかった。これらのmiRNAは、活性化CD4+T細胞に比べて、休止期CD4+T細胞の方により多く存在する。これらのmiRNAに特異的な阻害剤は、HIV-1の感染性クローンによって形質移入された休止期CD4+T細胞におけるHIV-タンパク質の翻訳量、あるいは抑制的HAART療法を受けているHIV-1感染者から単離した休止期CD4+T細胞でのHIV-1ウイルス増殖のどちらの測定においても、標的とするmRNAに対する影響を打ち消した。今回のデータは、細胞内miRNAがHIV-1の潜在化できわめて重要であることを示しており、細胞内miRNAの制御は、長期生存型感染細胞内に残存するHIV-1を除去するための新たな手法となる可能性がある。 Full text PDF 目次へ戻る