Article 心疾患:27-ヒドロキシコレステロールはエストロゲンの心血管作用を阻害する内因性SERMである 2007年10月5日 Nature Medicine 13, 10 doi: 10.1038/nm1641 エストロゲンの心血管作用は血管細胞に発現する受容体を介して行われる。今回我々は、多量に存在するコレステロール代謝物で、高コレステロール血症では増加し動脈硬化病変で検出される27-ヒドロキシコレステロール(27HC)が、血管系でのエストロゲン受容体作用の拮抗的アンタゴニストであることを示す。27HCは、血管細胞で起こる、転写介在性および転写非介在性でエストロゲンに依存する一酸化窒素産生を阻害し、その結果としてラットでは大動脈のエストロゲン誘発性血管拡張が減弱する。さらに、食餌誘発性の高コレステロール血症、薬理学的投与あるいは遺伝子操作(異化酵素CYP7B1をコードする遺伝子のノックアウト)により、マウスで27HC血中濃度を上昇させると、血管型一酸化窒素合成酵素のエストロゲン依存性の発現が低下し、頸動脈の再内皮化が抑制される。27HCには、抗エストロゲン作用に加えて、細胞種特異的なエストロゲン様作用が存在し、これは27HCが内因性の選択的エストロゲン受容体モジュレーター(selective estrogen receptor modulator, SERM)として機能することを示している。これらの結果を総合すると、27HCはエストロゲンによる血管疾患保護作用の消失に寄与する因子であると考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る