Article 抗うつ作用:運動によって調節を受ける遺伝子VGFの抗うつ作用 2007年12月7日 Nature Medicine 13, 12 doi: 10.1038/nm1669 運動には多くの健康上の効用があり、抑うつ状態の患者での抗うつ作用もその1つであるが、こうした影響の基盤となっている仕組みは解明されていない。我々は特別仕様のマイクロアレイを用いて、気分および抗うつ反応にかかわるとされる脳領域である海馬で、運動によって制御されるマウス遺伝子のこれまで報告されていないプロファイルを見いだした。これらの運動制御性遺伝子群のパスウェイ解析から、抗うつ薬の作用にかかわるとされている神経栄養因子シグナル伝達カスケードの1つが運動によって亢進されることが明らかになった。運動によって発現がもっとも大きく制御される標的遺伝子および成長因子パスウェイ遺伝子の1つは、シナプス可塑性および代謝に影響を及ぼすことがわかっているペプチド前駆体であるVGF神経成長因子をコードしている。本論文では、合成VGF由来ペプチドの投与がマウスで強い抗うつ反応を引き起こし、それに対して、VGF変異マウスではその逆の影響が生じることを示す。この結果はVGFの新たな役割を示唆しており、VGFシグナル伝達が抗うつ薬開発の有望な治療標的のひとつであることを明らかにしている。 Full text PDF 目次へ戻る