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心疾患:Pim-1はAktの下流で心筋細胞の生存を制御する

Nature Medicine 13, 12 doi: 10.1038/nm1671

セリン・トレオニンキナーゼであるPim-1とAktは細胞の増殖と生存を制御している。Aktは心筋における重要なシグナルタンパク質であることが知られているが、Pim-1の役割は見過ごされてきた。マウス心筋でのPim-1の発現は出生後の発達段階で減少し、マウスでは急性病的傷害後に再出現し、不全心においてはマウスとヒトの両方で増加する。Aktの活性化をともなう心臓保護的な刺激によりPim-1発現が誘導されるが、Pim-1欠損マウスでは心筋梗塞や圧負荷による病的傷害後のAktの量およびリン酸化の代償性増加による心筋保護作用がみられない。遺伝子導入によりPim-1を心筋に発現させると、マウスは心筋梗塞傷害から保護され、Pim-1発現は心筋細胞のアポトーシスを抑制し、同時にBcl-2とBcl-XLタンパク質およびBadリン酸化レベルが増加する。遺伝子導入によりPim-1を過剰発現させた心臓では、遺伝子導入をしていない対照群と比べた場合、カルシウム動態はSERCA2aの発現増加をともなって大幅に増強しており、Pim-1欠損マウスの心臓では減弱している。これらの結果は、Pim-1がAktの下流で働く、心臓保護に重要な因子であることを示唆している。

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