Letter 腎疾患:発生上の重要なスイッチがPkd1欠損後の腎臓嚢胞形成の動態を規定する 2007年12月7日 Nature Medicine 13, 12 doi: 10.1038/nm1675 常染色体優性遺伝性の腎多嚢胞性疾患は、末期腎疾患の重要な原因であるが、確立された治療法はない。PKD1(ポリシスチン1をコードする遺伝子)の変異は、この疾患の主要原因である。この疾患は出生前に発症し、ゆっくりと進行するが、嚢胞の形成が成年期に継続して起こるのかどうかは明らかではない。我々は、生後13日齢より前のマウスでPkd1を不活化させると、3週間以内に重度の嚢胞腎を生じるが、14日齢以降の不活化では、5か月後以降でのみ嚢胞を生じたことを示す。嚢胞検体での細胞増殖は、年齢が対応する対照群に比べて明らかに高いわけでなかったが、Pkd1の不活化に応答した急激な変化は、腎臓の成長期間でこれまで認められていなかった抑制点と遺伝子発現の大きな変化に対応していた。これらの知見は、Pkd1の不活化の影響は、末期の腎臓成熟過程の終了を伝える発生上のスイッチによって規定されることを示唆する。我々の研究は、Pkd1は発生中および成体の腎臓の尿細管の形態を制御するが、不活化による病理学的帰結は、腎臓の発生段階によって決まることを示している。これらの結果は、疾患の臨床的な理解と治療法に重要なかかわりがある。 Full text PDF 目次へ戻る