Article 免疫:ガレクチン1が母子間免疫寛容に果たすきわめて重要な役割 2007年12月7日 Nature Medicine 13, 12 doi: 10.1038/nm1680 妊娠の成功には、母親の免疫・内分泌機構が胎児に同調的に適応する必要がある。本論文では、免疫調節作用を持つグリカン結合タンパク質ガレクチン1(Gal-1)が母子間免疫寛容の賦与にきわめて重要な役割を果たすことを示す。妊娠不成功時にGal-1発現が著しく低下するのと一致して、Gal-1欠損(Lgals1-/-)マウスは、同種交配した場合、野生型マウスに比べて高率で胎仔死亡が生じたが、同系交配では胎仔の生存は影響を受けなかった。組換えGal-1の投与により胎仔死亡は防止され、in vivoで寛容原性を有する樹状細胞の誘導とそれに続くインターロイキン10(IL-10)を分泌する調節性T細胞の増殖促進などの複数の機序を介して寛容性が回復した。したがって、Gal-1による保護効果は、調節性T細胞が大幅に減少しているマウスまたはIL-10欠損マウスでは見られなかった。さらに我々は、妊娠の維持におけるGal-1とプロゲステロンとの間の相乗作用を示す証拠を提示する。これらの結果から、Gal-1は母子間免疫寛容のきわめて重要な調節因子であり、流産の危険のある妊娠に対する治療に関わりがあると考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る