Article 癌:リンパ節の切除および移植後のリンパ管の治療的な分化と成熟 2007年12月7日 Nature Medicine 13, 12 doi: 10.1038/nm1689 転移癌に対する外科的治療あるいは放射線療法はリンパ節に傷害を与えることが多く、二次性リンパ浮腫につながる。我々は、新しく構築したマウスモデルを用い、リンパ節除去後の集合リンパ管の再生と移植リンパ節への融合が可能であることを示す。リンパ節除去マウスにアデノウイルスを用いて血管内皮増殖因子C(VEGF-C)あるいはVEGF-Dを送達すると、毛細リンパ管の活発な増殖が誘導され、徐々に本来的なリモデリング、分化および成熟が起こって、一様な内皮細胞間結合や管腔内弁形成を含め、機能を備えた集合リンパ管となった。このようなリンパ管では、周皮細胞との接触も再形成され、これによって管成熟過程の毛細リンパ管マーカーの発現が低下した。増殖因子療法によって、腫瘍転移に対する免疫障壁の機能的再構築などを含めた、リンパ節移植の転帰が改善した。これらの結果は、増殖因子誘導性のリンパ管成熟が、成体マウスで可能であることを示しており、また、リンパ浮腫に対するこれからの治療の基盤となるだろう。 Full text PDF 目次へ戻る