Technical Report

幹細胞治療:移植可能な骨格筋芽細胞のヒト胚性幹細胞からの誘導

Nature Medicine 13, 5 doi: 10.1038/nm1533

ヒト胚性幹細胞(hESC)は、変性疾患に対する細胞療法の材料供給源として期待されている。hESCの医療利用の可能性を確立するための重要な一歩は、移植に使えるようにhESCを特定の組織の前駆細胞だけに転換させるという技術の開発である。我々は最近、hESCからの多能性間葉系前駆細胞の誘導について報告した。しかし我々のこれまでの研究は、マウス・フィーダー細胞の必要性やin vivoデータの欠如により制約を受けていた。本論文では、間葉系前駆細胞を誘導するための間質フリー培養系について報告する。選択的な培養条件と、フローサイトメトリー(FACS)法を用いた精製により、多能性間葉系前駆細胞と骨格筋芽細胞が得られた。骨格筋細胞はin vitroで成熟して筋管を形成し、自発的に単収縮をするようになった。また、SCID/Beigeマウスの前脛骨筋に移植したhESC由来の骨格筋芽細胞は、生物発光画像法によって生着が確認された。奇形腫形成が見られないこと、また筋芽細胞の長期間生着の証拠から、この系は将来の治療的応用の可能性がかなり高いと考えられる。

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