Article 筋ジストロフィー:SIK1は骨格筋細胞の生存を促進するクラスII HDACキナーゼである 2006年5月1日 Nature Medicine 13, 5 doi: 10.1038/nm1573 運動の際には、運動神経の活動増加により転写因子であるMEF2(myocyte enhancer factor 2)ファミリーを介して筋特異的遺伝子の発現が誘導される。細胞内カルシウムの上昇により、クラスIIヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)のリン酸化依存的な不活性化が起こり、それを介してMEF2活性が増加する。我々は、骨格筋におけるcAMP応答配列結合タンパク質(CREB)の役割を検討するため、優性ネガティブ型CREB導入遺伝子を発現するマウス(M-ACREBマウス)を作製し、そのマウスの筋肉がMEF2活性の減少とジストロフィー様形態を示すことを見いだした。CREBの標的であるSnf1lk(塩誘導キナーゼSIK1をコードする遺伝子)は新たなクラスII HDACキナーゼとして機能するが、M-ACREBマウスの筋繊維ではSnf1lk量の減少によりクラスII HDACのリン酸化が低下していた。Snf1lkのウイルスを用いた発現あるいは低分子アンタゴニストの投与によりクラスII HDAC活性を阻害すると、M-ACREBマウスのジストロフィー様表現型が改善することは、筋機能の調節にSIK1-HDAC経路が重要な役割をもつことを示している。 Full text PDF 目次へ戻る