Article 癌:E3リガーゼHACE1は染色体6q21上にあって重要な複数の癌に関与する腫瘍抑制因子である 2007年9月1日 Nature Medicine 13, 9 doi: 10.1038/nm1621 形質転換および癌の成長は、癌遺伝子と癌抑制遺伝子の協同的作用によって調節されている。本論文では、新規E3ユビキチンリガーゼ遺伝子HACE1が、ヒトの腫瘍でしばしば下方制御されており、ヒトの複数の癌と関連するとされる染色体6q21領域に位置することを報告する。マウスでHACE1遺伝子を不活性化すると、自然発生的な遅発性の癌が発生する。Hace1が欠損している条件下で、環境因子あるいは腫瘍抑制因子p53のヘテロ接合性という第2の要因が加わると、腫瘍発生率は顕著に上昇した。ヒト腫瘍細胞でHACE1を再発現させると、in vitroおよびin vivoでの腫瘍増殖が直接的に抑制されるが、siRNAによってHACE1の発現を抑制すると、in vivoで非腫瘍発生性のヒト細胞が腫瘍を形成した。作用機構的には、HACE1の腫瘍抑制機能は、そのE3リガーゼ活性に依存しており、またHACE1は細胞ストレス条件下で接着依存的な増殖および細胞周期の進行をサイクリンD1の分解を介して制御している。したがってHACE1は、染色体6q21領域上に存在する、複数の癌に関与する腫瘍抑制遺伝子である可能性がある。 Full text PDF 目次へ戻る