Article 癌:抗癌化学療法や放射線療法への免疫系のToll様受容体4依存的寄与 2007年9月1日 Nature Medicine 13, 9 doi: 10.1038/nm1622 癌に対する通常の治療は放射線療法と化学療法によっており、このような治療では腫瘍細胞の直接的除去によってその効果があらわれると考えられている。本論文では、一部の抗癌療法プロトコールの成功が、腫瘍に対する自然免疫応答および適応免疫応答にかかっていることを示す。ヒトおよびマウスの両方で、腫瘍抗原特異的なT細胞免疫を活性化する、これまでには知られていなかった経路が存在することがわかった。これには、アポトーシスを起こした腫瘍細胞によるHMGB1(high-mobility-group box 1)alarminタンパク質の分泌、および樹状細胞(DC)が発現するToll様受容体4(TLR4)に対するHMGB1の作用が関与している。化学療法あるいは放射線療法の間、アポトーシスを起こした腫瘍細胞に由来する抗原を効率的にプロセシングしてクロスプレゼンテーションするために、DCはTLR4やそのアダプターであるMyD88を介したシグナル伝達を必要とする。TLR4の機能喪失性対立遺伝子をもつ乳癌患者は、放射線療法や化学療法後の再発が、正常なTLR4対立遺伝子をもつ患者よりも速い。これらの結果は、腫瘍細胞の死が引き起こす、臨床治療に関係した免疫補助経路の存在を示している。 Full text PDF 目次へ戻る