Technical Report 細胞除去:トランスジェニックマウス・ヒトCD59発現細胞のインターメディリシンによる迅速で選択的な条件づけ除去 2008年1月8日 Nature Medicine 14, 1 doi: 10.1038/nm1674 条件づけ選択的細胞除去法は、ヒト疾患の発症機序やin vivoでの細胞機能を調べるための有力な手法の1つである。インターメディリシン(ILY)は、連鎖球菌(Streptococcus intermedius)によって分泌される膜孔形成性の細胞溶解毒素であり、ヒトCD59に対する結合特異性をもつためヒト細胞のみを溶解する。今回我々は、ヒトCD59を赤血球に発現する(ThCD59RBC系統)か、あるいは内皮に発現する(ThCD59END系統)という2系統のトランスジェニックマウスを作製した。ThCD59RBCマウスにILYを静脈注射すると、急性血管内溶血が起こり、一酸化窒素の生体内利用率低下や血小板活性化の亢進を招いて急性の死亡につながる。ThCD59ENDマウスでは、ILYによって急速な内皮損傷が引き起こされ、急性の死亡と汎発性血管内凝固が起こる。さらに、ヒト血清には、ほかのどの動物種にも見られないILY特異的中和抗体が含まれていることも明らかになった。これらの結果は、ILYを使った条件づけによる、この新規で迅速に働く選択的細胞除去法は、利用可能な遺伝子導入発現系と併用すれば、特定細胞群の生理的役割を調べるのに使えることを示唆している。 Full text PDF 目次へ戻る