Article 癌:抗原非特異的養子T細胞療法、腫瘍溶解性ウイルス療法および免疫療法を組み合わせてリンパ器官での癌転移を除去する 2008年1月8日 Nature Medicine 14, 1 doi: 10.1038/nm1681 多数の一般的な癌で、リンパ節を介した二次性腫瘍の播種は癌患者にとって最も重大な脅威となる。転移性癌細胞は多くの場合、血液細胞が末梢リンパ器官へ移動する際に使う分子メカニズムを模倣することでリンパ節へ到達する。そこで我々は、転移性癌細胞が存在するリンパ器官へ腫瘍溶解性ウイルスを送り届けるのに、ナイーブT細胞の移動を利用した。転移はまず、ウイルスによる腫瘍溶解により軽減され、その後、リンパ節や脾臓で生じた防御的に働く抗腫瘍免疫によって腫瘍細胞が殺されるために消失した。リンパ節での腫瘍細胞の除去は、ウイルスを免疫したマウスでも可能であった。癌患者への、腫瘍溶解性ウイルスを加えた正常T細胞の養子移入は、転移の範囲を縮小するとともに、in situで癌患者を微小転移から守る手段となる、技術的に容易な方法である。以上の結果から、このT細胞養子移入は多くの異なる種類の癌に対する補助的手段として大きな治療効果をもつと考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る