Letter 組織球増殖症:ランゲルハンス細胞組織球増殖症から明らかになった新たなIL-17A依存性の樹状細胞融合経路 2008年1月8日 Nature Medicine 14, 1 doi: 10.1038/nm1694 IL-17Aは、マイコバクテリウム属の感染、クローン病、関節リウマチおよび多発性硬化症のような慢性炎症に関与する、T細胞に特異的なサイトカインである。マウスモデルでは、IL-17A産生の分子的基盤が説明されており、IL-17Aは未知の機序による肉芽腫形成および神経変性に対してだけでなく、骨芽細胞でのRANKL(Receptor activator of NF-κB ligand)誘導性の骨吸収に対しても促進的影響をもつことが示されている。ランゲルハンス細胞組織球増殖症(LCH)は、高悪性度の慢性肉芽腫形成、骨吸収および時に神経変性をともなう軟部組織病変などのIL-17Aに関係するさまざまな疾患でそれぞれ個別に見いだされる症状をひとまとめにした原因不明の稀少疾患であり、動物モデルは存在しない。我々はLCH患者のIL-17Aについて調べ、活動性LCHの患者では血清中のIL-17A濃度が高く、LCH病変における主要な細胞型である樹状細胞(DC)によって意外にもIL-17Aが産生されていることを見いだした。さらに、DC融合を起こすIL-17A依存的な経路が存在し、これがIFN-γによって大きく増強され、巨細胞に3つの主要な組織破壊的酵素である酒石酸耐性酸性ホスファターゼ、マトリックスメタロプロテイナーゼ 9および12の発現をもたらすことを見いだした。IFN-γの発現は、これまでLCHで立証されており、IL-17Aが関連する疾患で観察されている。特に、血清IL-17Aに依存的な融合能は、LCHの活動性と相関する。したがって、IL-17AおよびIL17Aに刺激されたDCは、IL-17Aが関連するLCHその他の炎症性疾患の治療において、臨床的な意義をもつと考えられる標的となる。 Full text PDF 目次へ戻る