Technical Report がん:ヘルペスウイルス関連腫瘍におけるボルテゾミブ誘導性酵素を用いた放射線ターゲティング治療 2008年10月1日 Nature Medicine 14, 10 doi: 10.1038/nm.1864 我々は薬剤を用いてウイルス遺伝子発現を調節することで腫瘍組織を標的として放射線治療を選択的に行う可能性を検討した。我々は以前、マウスの異種移植モデルでエプスタイン・バーウイルスのチミジンキナーゼ(EBV-TK)を発現させた腫瘍へ、[125I]2′-フルオロ-2′-デオキシ-β-D-5-ヨードウラシル-アラビノフラノシド([125I]FIAU)をターゲティングさせることを示した。本論文では、それらの結果を発展させて、治療用の放射性薬剤である[131I]FIAUをターゲティングさせることで、腫瘍増殖の抑制ないし停止、あるいは腫瘍の退縮を導いた。これらの結果は、EBV-TKを恒常的に発現する腫瘍移植片において達成された。EBVが自然感染している腫瘍であるバーキットリンパ腫や胃がん由来の細胞株では、ボルテゾミブを前投与することによりウイルス遺伝子の発現を活性化させることが必要であった。腫瘍増殖の顕著な変化は、カポジ肉腫ヘルペスウイルスが自然感染している腫瘍にボルテゾミブを前投与した場合にも認められた。ボルテゾミブによって誘導された酵素を標的とする放射線治療は、薬剤を用いて腫瘍の遺伝子発現を変化させることで放射線によるターゲティング治療を実現化できる可能性を示している。 Full text PDF 目次へ戻る