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免疫性疾患:pauci-immune型巣状性壊死性糸球体腎炎における分子模倣

Nature Medicine 14, 10 doi: 10.1038/nm.1874

pauci-immune型巣状性壊死性糸球体腎炎(FNGN)は、抗好中球細胞質抗体(ANCA)が関与する重篤な炎症性疾患である。本論文では、LAMP-2(lysosomal membrane protein-2)に対する自己抗体の性質を明らかにし、この自己抗体がほぼすべてのFNGN患者に存在する新規ANCAサブタイプであることを示す。このため、LAMP-2に対する自己抗体をもつ患者は、ミエロペルオキシダーゼあるいはプロテイナーゼ-3を認識する従来のANCAをもつ患者のほぼ2倍である。さらに、LAMP-2に対する抗体をラットに投与すると、pauci-immune型FNGNが引き起こされ、また、ヒトLAMP-2(H4B4)に対するモノクローナル抗体によって、in vitroでヒト毛細血管内皮細胞のアポトーシスが誘導される。pauci-immune型FNGN患者の自己抗体は一般に、細菌のアドへシンであるFimHと100%のホモロジーがあるヒトLAMP-2エピトープ(P41-49と命名)を認識し、FimHと交差反応する。FimHで免疫されたラットは、pauci-immune型FNGNを発症し、ラットおよびヒトのLAMP-2に対する抗体も産生する。さらに、FNGNの発症前に、線毛をもつ病原菌の感染が一般的にみられることを示す。したがって、FimHによって引き起こされるLAMP-2に対する自己免疫が、これまでには報告されていない、臨床的に重要なpauci-immune型FNGN発症の分子機構である。

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