Technical Report 人工臓器:灌流により細胞を除去した細胞外マトリックス:天然の基礎構造を用いたバイオ人工心臓の作製 2008年2月1日 Nature Medicine 14, 2 doi: 10.1038/nm1684 米国では約3000人が移植用心臓の提供を待っており、世界中では2200万人が心臓障害を抱えている。バイオ人工心臓は、心臓移植や機械的な左心室補助の代替法になると考えられている。バイオ人工心臓の作製には、心臓の構造、適切な構成細胞、およびポンプ機能の設計・構築が必要である。我々は、界面活性剤を用いた冠動脈灌流によってラット心臓の細胞を除去し、枠組みとなる細胞外マトリックスを温存して、細胞を含まない灌流可能な脈管構造、細胞を含まない機能可能な弁、無傷の心房心室構造を得た。心臓の細胞構成を模倣するため、これらの構造に心筋細胞や内皮細胞を再び播種した。機能を確立するために、心臓の生理的活動を促進するバイオリアクター内で冠動脈灌流によって最長28日間、8個の人工心臓構造を培養した。その結果、4日目には肉眼で見える収縮が観察され、8日目には、修飾をほどこした機能心臓標品中の構造には、生理的負荷および電気刺激の下でポンプ機能が生じた(成人心臓機能の約2%もしくは16週目胎児の心臓機能の25%に相当)。 Full text PDF 目次へ戻る