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黄斑変性:酸化的損傷によって誘導される炎症は加齢黄斑変性を引き起こす

Nature Medicine 14, 2 doi: 10.1038/nm1709

加齢黄斑変性(AMD)には酸化的損傷と炎症が関与すると考えられている。しかし、この晩期発症型疾患で酸化と炎症を結びつける分子シグナルは不明である。カルボキシエチルピロールは、AMDドナーの眼組織のドルーゼン中、およびAMD患者の血漿標品中で見つかり、ドコサヘキサエン酸酸化物断片から生じる特徴的な付加タンパク質である。本論文では、カルボキシエチルピロールを付加したマウス血清アルブミンで免疫したマウスに、AMD様病変がみられることを報告する。免疫マウスでは、このハプテンに対する抗体が産生され、補体第3成分がブルーフ膜に結合し、加齢過程で網膜色素上皮下にドルーゼンが沈着し、乾燥型AMDに特徴的で失明に至る最終段階である地図状萎縮に似た病変が網膜色素上皮に生じた。このようなマウスは、ドコサヘキサエン酸が多量に存在し、酸化的損傷が起こりやすい外網膜層でのカルボキシエチルピロール付加体の生成に過敏となったと考えられる。この新たなモデルは、外網膜層における酸化的損傷の分子病理と、AMDの一因となる免疫応答を解明する際の基盤となる。

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