Technical Report ウイルス感染:ライノウイルスが引き起こす疾患やアレルギー性気道炎症悪化のマウスモデル 2008年2月1日 Nature Medicine 14, 2 doi: 10.1038/nm1713 ライノウイルスは、ぜんそくの悪化や普通感冒を引き起こす主要な病原体であり、重篤な病態や死亡の原因となる。疾患発症機序の解明と有効な治療法の開発に対する大きな障害は、ライノウイルス感染の小型動物モデルがないことである。ライノウイルスの既知の血清型100種類のうち90%(主要グループ)は、その細胞受容体としてヒト細胞間接着分子1(ICAM-1)を用いるが、マウスICAM-1には結合しない。残り10%の血清型(少数グループ)は、低密度リポタンパク質受容体ファミリーに属する受容体を用いており、これに対応するマウスの受容体に結合可能である。今回我々はライノウイルス感染の新規マウスモデルとして、BALB/cマウスの少数グループライノウイルス感染、マウス-ヒトICAM-1キメラを発現するトランスジェニックBALB/cマウスの主要グループライノウイルス感染、アレルギー性気道炎症のライノウイルスが誘導する悪化の3種を報告する。これらのモデルは、ヒトでのライノウイルス感染に見られるアレルギー性気道炎症悪化などの特徴と類似した特徴を備えており、感冒やぜんそく悪化に対する将来の治療法の開発に有用となるだろう。 Full text PDF 目次へ戻る