Article 糖尿病:アポトーシス誘導性BADは2重の役割をもちインスリン分泌と膵島ベータ細胞生存にかかわる 2008年2月1日 Nature Medicine 14, 2 doi: 10.1038/nm1717 BCL-2ファミリーに属するBADはアポトーシス誘導性で、グルコースにより駆動されるミトコンドリア呼吸を制御するグルコキナーゼ含有複合体中に存在する。本論文では、膵島ベータ細胞からのグルコース刺激によるインスリン分泌にBADが生理的役割を担うことを示す遺伝学的証拠を報告する。BADのこの今まで未知の機能は、必須のデスドメインであることが以前に明らかにされているBH3配列のリン酸化に特異的に依存している。今回我々は、炭化水素を連結した細胞膜透過性のBAD BH3ヘリックスを使って、リン酸化BAD BH3の薬理学的重要性を明らかにした。このBAD BH3ヘリックスはグルコキナーゼを標的とし、Badを欠損させた膵島でグルコースにより駆動されるミトコンドリア呼吸を回復し、インスリン分泌応答を正常化する。本研究は、BAD BH3ドメインのもう1つの標的と機能を明らかにし、リン酸化BAD BH3模倣体がベータ細胞の選択的機能回復に治療効果をもつ可能性を示している。さらに、BADは高脂肪食摂取中のベータ細胞量の生理的適応を制御することも示す。今回の結果から、BADはベータ細胞の生存とインスリン分泌の両方に働いていて、2重の機能活性を有することを示す遺伝学的証拠が得られた。 Full text PDF 目次へ戻る