Article 心疾患:タンパク質キナーゼCK2は心臓で細胞外増殖因子シグナル伝達とp27Kip1安定性の制御を結びつける 2008年3月3日 Nature Medicine 14, 3 doi: 10.1038/nm1729 p27Kip1(p27)は、サイクリン依存性キナーゼ2(Cdk2)の阻害により細胞増殖を妨げる。p27は心臓で多量に発現しているにもかかわらず、心臓やその他の非増殖性組織での機能および制御についてはほとんどわかっていない。しかし、そうした組織ではp27の主要な標的であるサイクリンE-Cdk2の発現がきわめて低いことが知られている。今回我々は、主要な心臓増殖因子のアンギオテンシンIIが、プロテインキナーゼCK2-α′に依存するリン酸化を介してp27のプロテアゾームでの分解を誘導することを示す。逆に、リン酸化されていないp27はCK2-α′を強力に阻害する。したがって、p27- CK2-α′相互作用は肥大シグナル伝達現象によって制御されており、分化した心筋細胞で調節性のフィードバックループを形成する。このフィードバックループは、p27とCdk2との相互作用から生じる細胞増殖を調節するフィードバックループと似ているが、それとは異なっている。今回の結果は、有糸分裂後の細胞では細胞外増殖因子がp27の安定性を調節しており、CK2-α′によるp27の不活性化がアゴニストおよびストレス誘導性心臓肥大性成長にきわめて重要であることを示している。 Full text PDF 目次へ戻る