Article 腎疾患:足細胞のNotch経路は糸球体疾患の発症にかかわっている 2008年3月3日 Nature Medicine 14, 3 doi: 10.1038/nm1731 糸球体の硬化に関連するアルブミン尿症は、非常に多くみられる進行性の腎機能低下につながる。本論文では、糸球体のパターン形成に重要な役割を果たすNotch経路の活性化が、糸球体疾患発症の一因であることを報告する。糖尿病性腎症および巣状分節性糸球体硬化症の糸球体上皮細胞では、Notch1の細胞内ドメイン(ICN1)の発現が増大していた。in vivoで足細胞に限ってICN1を条件的に再発現させると、タンパク尿および糸球体硬化が生じた。in vitroおよびin vivo実験から、ICN1がp53の活性化を介して足細胞のアポトーシスを誘導することがわかった。Notchが結合する転写パートナー(Rbpj)の足細胞特異的な遺伝子欠失、またはγ-セクレターゼ阻害剤によるNotch経路の薬理学的阻害により、ラットではタンパク尿をともなう腎疾患の発症が抑えられた。これらの知見は、成熟足細胞におけるNotchの活性化が、糸球体疾患のこれまで知られていなかった発症機序であること、またこの経路が新たな治療標的となる可能性を示唆している。 Full text PDF 目次へ戻る