Article 感染症:Toll/インターロイキン1受容体ドメインをもつ独特な細菌タンパク質ファミリーによるToll様受容体シグナル伝達の破壊 2008年4月4日 Nature Medicine 14, 4 doi: 10.1038/nm1734 病原性微生物は、宿主防御を崩壊させるために巧妙な分子戦略を発達させてきた。本論文では、病原性細菌はToll/インターロイキン1受容体(TIR)ドメインの阻害作用をもつホモログを分泌することにより、Toll様受容体(TLR)の機能を直接妨害することを示す。Tcp(TIR domain containing-protein)をコードする遺伝子は、大腸菌(Escherichia coli)CFT073(TcpC)およびマルタ熱菌(Brucella melitensis)(TcpB)で同定されている。我々は、最も病原性の高い尿路病原性大腸菌株に共通してTcpCが存在し、これがin vivoでの細菌の生存を助長し、腎臓の病態を増悪することを見いだした。コンピューターを用いた解析では、ヒトTLR1のTIRドメインときわめて相同性の高い3次構造が予測されるTcpは、アダプタータンパク質であるMyD88(myeloid differentiation factor 88)に直接結合することにより、MyD88を介してTLRのシグナル伝達を妨害することがわかった。TcpはTLRとMyD88に特異的なシグナル伝達を阻害して、自然免疫を抑制し病原性を増大させる作用をもつ新たなクラスの病原因子である。 Full text PDF 目次へ戻る