Article 肥満:Krüppel様転写因子5のSUMO化はPPAR-δが関与する脂質代謝の転写プログラムの分子スイッチとして働く 2008年6月15日 Nature Medicine 14, 6 doi: 10.1038/nm1756 肥満とメタボリック症候群は、心血管疾患の主要な危険因子であることが広く認識されるようになってきている。今回我々は、KLF5(Krüppel-like transcription factor 5)がエネルギー代謝の重要な制御因子であることを示す。Klf5+/-マウスは、野生型マウスより多くの食餌を摂取しているにもかかわらず、脂肪誘発性肥満、高コレステロール血症、および耐糖能異常に対する抵抗性が高かった。これは1つには、エネルギー消費の増加を表しているのかもしれない。Cpt1b(carnitine-palmitoyl transferase-1b)およびUcp2、Ucp3(uncoupling proteins 2 and 3)などの脂肪酸化やエネルギー脱共役に関わる遺伝子の発現が、Klf5+/-マウスのヒラメ筋では増加していた。基礎状態では、SUMO(small ubiquitin-related modifier)タンパク質により修飾されたKLF5はリガンド非結合型PPAR-δ(peroxisome proliferator-activated receptor-δ)やコリプレッサーを含む転写リプレッサー複合体に結合しており、Cpt1b、Ucp2およびUcp3の発現を抑制した。PPAR-δのアゴニスト刺激によりKLF5は脱SUMO化され、リガンド結合型PPAR-δとCBP(CREB binding protein)の両方を含む転写活性化複合体に結合するようになった。この活性化複合体はCpt1b、Ucp2およびUcp3の発現を増大させた。したがって、SUMO化はKLF5の機能と脂質代謝を支配する転写調節プログラムに影響を与える分子スイッチであると考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る