Article 炎症性疾患:自然免疫応答の持続的な活性化は呼吸器ウイルス感染を慢性肺疾患へと変化させる 2008年6月15日 Nature Medicine 14, 6 doi: 10.1038/nm1770 我々は、慢性炎症性疾患の病因を解明するために、ヒトの喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)に類似した病態を有する実験的慢性肺疾患マウスモデルについて検討した。このモデルでは、一般的な呼吸器ウイルスへの感染後にウイルスが排除され、ごく微量の非感染性ウイルスが残るのみとなった後に、慢性肺疾患が生じる。慢性炎症性疾患は、一般には適応免疫応答の変化によって発症すると考えられている。しかし、今回我々は、このタイプの疾患は適応免疫応答には関係なく、CD1d依存性のT細胞受容体-インバリアントナチュラルキラーT(NKT)細胞による刺激を受けたマクロファージが産生するインターロイキン13によって発症することを見いだした。この自然免疫軸は、喘息あるいはCOPDによる慢性気道疾患を有するヒト肺でも活性化されている。呼吸器へのウイルス感染から慢性肺疾患への移行には、これまで知られていなかったNKT細胞-マクロファージ自然免疫軸の持続的な活性化が必要であることを明らかにした今回の知見は、慢性炎症性疾患の病因に対する新たな手がかりを与える。 Full text PDF 目次へ戻る