Article 神経変性疾患:アルツハイマー病では非コードRNAの発現が上昇し、β-セクレターゼの急速なフィードフォーワード調節を誘導する 2008年7月7日 Nature Medicine 14, 7 doi: 10.1038/nm1784 最近の研究により、タンパク質をコードする多数のメッセンジャーRNAが天然のアンチセンス転写物パートナーをもち、そのほとんどが非コードRNAらしいことが明らかになった。今回我々は、β-セクレターゼ1(BACE1)に対する保存された非コードアンチセンス転写物を同定した。β-セクレターゼ1(BACE1)は、アルツハイマー病の病態生理にきわめて重要な酵素である。BACE1アンチセンス転写物(BACE1-AS)はBACE1mRNAと、さらにその後に続くBACE1タンパク質の発現をin vitroおよびin vivoで制御する。アミロイドβ1-42(Aβ1-42)などのさまざまな細胞ストレス要因に曝露されるとBACE1-ASの発現は上昇し、これによってBACE1 mRNAの安定性が増して、転写後のフィードフォーワード機構によりさらにAβ1-42が産生される。アルツハイマー病患者およびアミロイド前駆体タンパク質を産生するトランスジェニックマウスではBACE1-ASの濃度が上昇していた。これらのデータは、BACE1mRNAの発現は調節性非コードRNAの制御下にあり、これがアルツハイマー病に付随した病態を引き起こす可能性を示している。要約すると、我々は長い非コードRNAがアルツハイマー病でAβ1-42量の増加に直接関与することを報告する。 Full text PDF 目次へ戻る