Letter 結核:ファゴソーム内の結核菌では膜タンパク質が細菌内pHを維持している 2008年8月1日 Nature Medicine 14, 8 doi: 10.1038/nm.1795 ファゴソームの酸性化は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis;Mtb)などの細菌に対してマクロファージが用いる主要な機構と考えられている。Mtbはファゴソームの酸性化を妨げるが、インターフェロンγ(IFN-γ)は酸性化を回復させ、抗マイコバクテリウム作用をもたらす。にもかかわらず、酸はMtbを殺すのか、ファゴソーム内ではあらゆる病原性細菌の細胞内pHが低下するのか、またマイコバクテリウムの毒性には酸抵抗性が必要とされるのかなどはわかっていない。in vitroでpH 4.5という条件では、Mtbは単純な緩衝液中で生存でき、細菌細胞内のpHが維持される。したがって、Mtbはファゴリソソームの酸濃度に対して抵抗性をもつ。またMtbは、IFN-γによって活性化されたマクロファージによって貪食された場合も、細菌内pHを維持して生き延びる。我々は、トランスポゾンを使う変異導入法によりMtbの酸抵抗性をもたらす遺伝子を同定した。膜結合型タンパク質をコードする今まで特性が明らかにされていない遺伝子Rv3671cが破壊された細菌株は酸に対して感受性となり、in vitroの酸性液中で、あるいは活性化されたマクロファージ中で細菌細胞内pHを維持できない。またこの変異体は、マウスでの増殖が大幅に低下した。したがって、Mtbは酸に対する抵抗性があり、これは大部分がRv3671cに依存しており、この抵抗性が毒性に不可欠であることがわかった。Mtbの酸抵抗性と細菌内pH維持機構の破壊は、化学療法のよい標的となる。 Full text PDF 目次へ戻る