Technical Report

がん:循環血中の変異DNAを使った腫瘍の動態評価

Nature Medicine 14, 9 doi: 10.1038/nm.1789

循環血中の核酸量測定は、HIVなどの慢性ウイルス感染の管理法を変化させた。これと類似のマーカーをがん患者用に開発すれば、同様にがんの管理を向上できると考えられる。体細胞性変異を含むDNAは腫瘍特異性がきわめて高く、したがって理論的には最適なマーカーになりうる。しかし、変異遺伝子を含むDNA断片の循環血内数は正常な遺伝子DNA断片に比べて少なく、そのため、臨床で有用となるような感度で変異を含む断片を検出し定量化することはむずかしい。本研究では、結腸直腸がんに対する集学的治療を受けている患者18名から得た162の血漿標品に、循環血中の腫瘍DNA(ctDNA)を定量化する高感度の手法を適用し、ctDNA測定は外科処置または化学療法を受けているがん患者の腫瘍動態の信頼性高い監視法となることを見いだした。この個別化された遺伝学的手法は、他の種類のがんの患者にも広く適用できると考えられる。

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