Letter

免疫:好酸球によるミトコンドリアDNAのカタパルト様の放出は抗菌防御に寄与している

Nature Medicine 14, 9 doi: 10.1038/nm.1855

好酸球は寄生生物に対する防御機構に役立つとみなされているが、自然免疫におけるその機能の詳細は明らかになっていない。本研究の目的は、胃腸管免疫系での好酸球の役割解明を進めることである。我々は、グラム陰性細菌に由来するリポ多糖が、インターロイキン5(IL-5)あるいはインターフェロンγでプライミングされた好酸球を活性化し、活性酸素種依存的にミトコンドリアDNAを放出させるが、これは好酸球の細胞死とは無関係に起こることを明らかにした。DNA放出過程が、カタパルトを使ったように、1秒以下できわめて迅速に起こるのは注目すべきである。細胞外で、ミトコンドリアDNAや顆粒タンパク質は細胞外構造を形成し、in vitroで、またin vivoの炎症条件下の両方で、細菌に結合してこれを殺すことができる。さらに、盲腸結紮穿刺を行ったIl5-トランスジェニックマウスは、細菌性敗血症に対する防御に関連した腸の好酸球浸潤と細胞外でのDNA沈着がみられるが、野生型マウスの場合はこれらが認められない。以上のデータは、これまで報告されていなかった好酸球を介する自然免疫応答機構の存在を示唆しており、この機構は炎症に関連した上皮細胞損傷後に腸のバリア機能を維持して、細菌の自由な侵入から宿主を防御するのに重要と考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度