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腎臓疾患:腎臓足細胞のアクチン細胞骨格は、サイクロスポリンAの抗タンパク尿作用の直接標的である

Nature Medicine 14, 9 doi: 10.1038/nm.1857

カルシニューリン阻害剤であるサイクロスポリンA(CsA)の免疫抑制作用は、T細胞での活性化T細胞核因子(NFAT)を介するシグナル伝達の阻害によって生じる。CsAはまた、タンパク尿がみられる腎臓疾患の治療にも使用されている。現在、CsAの抗タンパク尿作用は、その免疫抑制作用によるものとされている。本論文では、タンパク尿に対するCsAの有用性は、T細胞でのNFAT阻害に依存しておらず、腎臓足細胞中のアクチン細胞骨格の安定化によるものであることを示す。シナプトポディンは足細胞でRho GTPアーゼ調節因子として働くが、CsAはカルシニューリンが仲介するシナプトポディン脱リン酸化を阻害するため、リン酸化依存性のシナプトポディン-14-3-3β相互作用が維持される。この相互作用の維持によって、シナプトポディンはカテプシンLが仲介する分解を免れる。これらの結果は、カルシニューリンシグナル伝達の新しい見方を示しており、タンパク尿がみられる腎臓疾患の治療法への手がかりとなる。シナプトポディンのような新しいカルシニューリン基質は、長期のCsA治療による重篤な副作用を回避する抗タンパク尿薬探索の有望な出発点となるかもしれない。

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