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マラリア:プリンヌクレオシドホスホリラーゼを欠く弱毒化ネズミマラリア原虫は防御免疫をもたらす

Nature Medicine 14, 9 doi: 10.1038/nm.1867

マラリアは、常用されている抗マラリア薬に対する薬剤耐性の出現や、有効なワクチンがないことにより、サハラ砂漠以南のアフリカで猛威をふるい続けている。マラリア原虫(Plasmodium)は、独特の簡素化したプリン代謝経路を有しており、この経路では二重特異性酵素プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)が、プリンの再利用と回収の両方に働いている。PNPの重要性をマラリアのin vivoモデルで評価するため、我々は致死性のネズミマラリア原虫(Plasmodium yoelii)YM株でPNPをコードする遺伝子PyPNPを破壊した。PNPをもたないネズミマラリア原虫はマウス体内で弱毒化され、排除された。PNP欠失原虫は配偶子母細胞を形成できるが、カの中腸で卵母細胞を形成することができず、カからマウスへの伝播は起こらなかった。PNP欠失原虫を投与されたマウスは、引き続いて行った致死性のネズミマラリア原虫YM株や、別のネズミマラリア原虫株17XNLの投与に免疫を示した。PNP欠失原虫を用いたこれらのin vivo研究は、プリン回収経路が抗マラリア薬の標的となることを裏付けており、また赤血球段階マラリアのワクチン株として弱毒化非感染性代謝経路変異体を開発する戦略を示唆している。

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