Letter ループス:神経毒性のある自己抗体は母親がループスに罹患している子でみられる先天性大脳皮質障害を仲介する 2009年1月1日 Nature Medicine 15, 1 doi: 10.1038/nm.1892 全身性エリテマトーデス(SLE)は自己抗体が仲介する自己免疫疾患で、妊娠可能な年齢の女性で発症することが多い。SLEを罹患する母親の子に高頻度で学習障害がみられることから、我々はDNAやN-メチル-D-アスパラギン酸受容体(NMDAR)に結合する自己抗体が、胎児の脳発生期間中に母親から移行することが病因となるのではないかと考えた。本論文では、妊娠期間を通じて体内にDNA特異的、NMDAR特異的な自己抗体が存在している妊娠マウスである、SLE罹患母体マウスモデルについて述べる。母体の循環血中にこれらの自己抗体が高力価で存在すると、胎児脳に組織学的異常が引き起こされ、その結果、成長した子に認知障害がみられた。これらのデータは、神経毒性をもつ自己抗体にin uteroで暴露されると、長期曝露の結果として脳の発生異常が引き起こされるという考え方を裏付けており、この考え方は多数の先天性神経精神疾患に適用できる可能性がある。 Full text PDF 目次へ戻る