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甲状腺:Kcne2欠失によって明らかになった、甲状腺ホルモン生合成におけるその必須の役割

Nature Medicine 15, 10 doi: 10.1038/nm.2029

甲状腺機能障害は、神経発達障害、小人症や心不整脈などの異常を引き起こし、世界的な健康問題となっている。本論文では、カリウムチャネルのサブユニットであるKCNQ1およびKCNE2が、甲状腺刺激ホルモンに刺激される、構成的活性化型のK+チャネルを甲状腺細胞で形成し、これが正常な甲状腺ホルモンの生合成に必要とされることを示す。マウスではKcne2の標的破壊により、甲状腺へのヨウ化物蓄積の最大8分の1までの低下、母マウスの射乳障害、乳中テトラヨードサイロニン(T4)含有量の半減、および一腹仔数の半減がみられた。Kcne2欠損マウスでは、甲状腺機能低下、矮小化、脱毛症、甲状腺腫、また心臓の肥大や繊維化、左室内径短縮率低下などの異常がみられた。脱毛症、矮小化および心臓異常は、仔へのトリヨードサイロニン(T3)やT4投与、母マウスへの出産前後のT4補給、あるいはKcne2+/+母マウスのみによる仔への授乳によって軽減した。逆に、Kcne2+/+仔へのKcne2−/−母マウスのみの授乳により、これらの徴候がみられるようになった。以上のデータは、甲状腺疾患の新しい治療標的候補を示しており、またこれまでに明らかにされたKCNE2およびKCNQ1に関連するヒト心不整脈に内分泌構成要素が関与する可能性を明らかにしている。

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