Article 免疫:PPAR-δはアポトーシス細胞除去を感知し調整することで寛容を促進する 2009年11月1日 Nature Medicine 15, 11 doi: 10.1038/nm.2048 マクロファージは、アポトーシス細胞を速やかに貪食することで有害な細胞成分の放出を抑え、自己抗原に対する自己免疫応答を抑制する。アポトーシス細胞の認識と貪食に関与する因子は同定されているが、アポトーシス細胞を感知して速やかに処理するための転写レベルの基盤は知られていない。今回我々は、マクロファージがアポトーシス細胞を貪食する際にはペルオキシソーム増殖活性化受容体-δ(PPAR-δ)が誘導され、これが死につつある細胞の転写レベルのセンサーとして機能することを示す。PPAR-δの遺伝学的欠失により、補体成分1qb(C1qb)などのオプソニンの発現が低下し、その結果としてアポトーシス細胞除去が障害され、抗炎症性サイトカイン産生が低下する。これによって自己抗体の産生が増加し、全身的およびマクロファージ特異的Ppard−/−マウスでは、ヒトの全身性エリテマトーデスに似た表現型である自己免疫性腎疾患が発症しやすくなる。したがってPPAR-δは、マクロファージによるアポトーシス細胞のタイミングのよい除去を調整するのに中心的な役割を担っており、自己に対する寛容が確実に維持されるように働いている。 Full text PDF 目次へ戻る