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敗血症:細胞外ヒストンは敗血症の主要な死亡原因である

Nature Medicine 15, 11 doi: 10.1038/nm.2053

過剰な炎症反応は、敗血症などの多様な疾患につながる可能性がある。今回我々は、炎症誘発に応じて放出された細胞外ヒストンが、敗血症の際の内皮機能障害、臓器不全、さらには死亡の一因となることを明らかにする。細胞外ヒストンは、ヒストンに対する抗体もしくは活性化プロテインC(APC)の薬理学的標的となる。ヒストンに対する抗体は、リポ多糖(LPS)、腫瘍壊死因子(TNF)もしくは盲腸結紮穿孔による敗血症マウスモデルで死亡率を低下させた。細胞外ヒストンは、in vitroでは内皮に対して細胞傷害性をもち、マウスでは致死的に働く。In vivoでヒストンを投与すると、好中球の辺縁趨向、内皮の空胞化、肺胞内出血が見られ、大血管および微小血管では血栓が生じた。大腸菌を攻撃投与したヒヒの循環血中でヒストンが検出され、またヒストン濃度の上昇に伴って腎不全が発症した。APCはヒストンを切断し、その細胞傷害性を低下させる。ヒヒではAPCと大腸菌、またマウスではAPCとヒストンを同時に注入することで死亡率が低下した。プロテインC活性化の阻害は、致死量以下のLPSの攻撃投与を致死的なものに悪化させたが、これはヒストンに対する抗体の投与により回復した。細胞外ヒストンは敗血症などの炎症性疾患に対する治療の分子標的となると我々は考える。

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