Article 腫瘍:プリン骨格をもつHsp90阻害剤はBCL-6を不安定化させ、BCL-6依存性B細胞リンパ腫特異的な抗腫瘍活性をもつ 2009年12月1日 Nature Medicine 15, 12 doi: 10.1038/nm.2059 本論文では、熱ショックタンパク質90(Hsp90)阻害剤が、BCL-6転写抑制因子に依存するびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を選択的に死滅させることを報告する。我々は、DLBCL細胞で内在性Hsp90がBCL-6と相互作用し、BCL-6 mRNAとタンパク質を安定化することを見いだした。Hsp90は標的プロモーター上でBCL-6と複合体を形成し、Hsp90阻害剤はBCL-6標的遺伝子を活性化した。安定なBCL-6変異体は、Hsp90阻害剤によるアポトーシスからDLBCL細胞を救済する。初代DLBCL細胞の核ではBCL-6とHsp90はほぼ例外なく共発現していた。このことは、BCL-6とHsp90の相互作用がこの疾患に関連していることを示唆している。また、最近開発されたプリン誘導体であるHsp90阻害剤のPU-H71について、薬物動態、毒性および薬効を調べた。PU-H71は、正常組織よりもリンパ腫の方に選択的に蓄積し、重要なBCL-6標的遺伝子の再活性化とアポトーシスを誘導して、in vivoでBCL-6依存性DLBCLを選択的に抑制した。PU-H71はまた、ヒトの初代DLBCL検体でも細胞死を誘導した。 Full text PDF 目次へ戻る