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神経疾患:興奮毒性神経傷害および虚血性神経傷害におけるNMDA受容体に依存したSREBP-1活性化の役割

Nature Medicine 15, 12 doi: 10.1038/nm.2064

N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)型グルタミン酸受容体(NMDAR)の過剰な活性化により惹起される興奮毒性神経傷害は、脳卒中や脳外傷後のニューロン減少の主要な原因と考えられている。今回我々は、脳卒中のin vitroおよびin vivoモデルで、転写因子であるステロール調節エレメント結合タンパク質1(SREBP-1)の障害ニューロンでの活性化が、NMDARが介在する興奮毒性による神経死の重要な段階であることを報告する。NMDARが介在するSREBP-1活性化は、Insig-1(insulin-induced gene-1)の分解増加の結果として起こり、我々が作製したInsig-1由来干渉ペプチド(Indip)により阻害可能である。脳卒中の局所虚血モデルを用いて、Indipの全身投与がSREBP-1の活性化を妨げるだけでなく、神経傷害を大幅に低下させ行動の転帰を改善することが示された。以上の結果は、IndipなどのSREBP-1活性化を減弱する物質が、脳卒中に対する新たな種類の神経保護治療法となる可能性を示唆している。

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