News & Views 母乳タンパク質で未熟児の敗血症を回避する 2009年12月1日 Nature Medicine 15, 12 doi: 10.1038/nm1209-1362 超低出生体重(VLBW)で生まれた早産児では敗血症による死亡が少なくないが、ヒトの母乳に普通に含まれるタンパク質ラクトフェリンが新生児の敗血症を防ぐことが、最近の臨床研究で報告された。P Manzoniたちは、VLBWの新生児にウシのラクトフェリン、もしくは、ラクトフェリンにその活性を増強すると考えられているプロバイオテックの乳酸菌Lactobacillus rhamnosus GGを加えたものを投与した。そして、生後72時間より後で退院前に起こった「遅発型」敗血症に対するこれらの影響を調べた。体重が重めの新生児(1,000〜1,500g)では、乳酸菌を加えてもラクトフェリンの効果が高まることはなく、ラクトフェリン単体でも敗血症の発生率に統計的に有意な影響はみられなかったが、これはおそらく体重が軽めの新生児に比べて投与量が相対的に少なかったためと思われる。しかし、結果を総合すると、こうした処置にははっきりした効果がみられる。ラクトフェリン単体もしくはラクトフェリンと乳酸菌を一緒に投与された153人の新生児のうち、敗血症になったのは9人だったのに対して、偽薬を投与した168人の新生児で敗血症になったのは29人だったのである。 Full text PDF 目次へ戻る